黒木碁石店の碁石づくり受け継がれる職人の技

日向市に伝わる〝手摺りの技〟

 蛤の貝殻を原料とする蛤碁石は、「硬くて柔らかい」という相反する性質を有しています。
 この性質ゆえに、指で挟んだ時のなじみ具合、碁盤に打った時の何物にも代え難い打ち味が生まれるのです。そして、その「硬くて柔らかい」蛤碁石を生み出す技「手摺り(てずり)」は、世界で唯一宮崎県日向市にのみ伝承されています。
 手摺り専用にあつらえた砥石と貝棒を用いて、1つ1つ丁寧に碁石の曲線を造形していきます。厚味を残しつつ不要な部分をそぎ落とし、均整の取れた曲面を形作っていく…。
 現在まで受け継がれてきた手摺りの技が、蛤の貝殻を至高の棋具「蛤碁石」へと昇華させていきます。

宮崎県日向市に伝わる蛤碁石の手摺り 黒木碁石店(約1分18秒)

盤職人は木とともに

 盤の素材は天然の木材です。木材は生育した環境や土壌、風土などで1本1本表情が異なります。一方、「盤」には、囲碁・将棋の棋具としての打ち味の良さや色、艶、耐久性、そして美しさが求められます。素材の良さを最大限に活かし、命を吹き込んで盤へと生まれ変わらせていく…。日々、木と向き合い、見て、触れて、聴いて、創造する。木とともにある盤職人が黒木碁石店の盤を創っています。

太刀盛り 黒木碁石店(約1分50秒)